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年金の本当のおはなし
社会保障審議会年金部会の中間報告について(4)
7.育児期間中の者の保険料免除等

現在、厚生年金に加入されている方で育児休業中の方の保険料は会社持ち分も含めて全額免除されています。
これを拡大できないか?という検討がされています。

この報告書はところどころ話が合致しない所があるのですが、つまりは国民年金に加入されている方も育児中は保険料を免除してはどうか?ということのようです。
厚生年金ならOKで国民年金ではNGということ自体が好ましくない状況ですので、こういった制度間での格差は減らすに越したことはないでしょう。
しかし、この報告書にもありますが、どの程度の範囲を養育者として免除の対象にするのかや、子供の数との関係も問題とはなると思います。

ただ、この報告書では保険料を免除するのではなく、その分年金額を増やすという案も書かれていますが、育児のために収入が減らざるを得ない方に保険料を免除するのと、老後に年金額を増やすのとでは全く意味が違うのではないかと思います。

この報告書を見る限りでは、あちこちに現行法に対する誤解・無理解が見られますし、現実的に考えておかしいとしか言えない案もあって、本当に有識者の集まりなのか?と疑問を持たざるを得ない内容となっています。


8.在職老齢年金の見直し

現在老齢年金を受給できる年齢でありながら勤務をされ給与を受けている方については、在職老齢年金として年金額の一部がカットされています。

これについて、支給停止に対する納得が得られていないということで支給停止の基準を緩和すべきという事のようです。
そもそもこの在職老齢年金の制度は、団塊世代の多額の支給に対する対策であったものです。
それを、当の団塊世代が受給する時期になって緩和するというのは如何なものでしょうか。
現在、若年層に広がっている世代間格差の感情にも配慮をしなければ保険料の未納が増える可能性もあるでしょう。そのあたりの検証はなされていないようです。

一方で、現在停止の理由になっている収入は厚生年金加入にかかる給与だけが対象となっており、これに対する不満感もありましたが、不動産収入、事業収入、金融収入等の給与以外の収入も対象とすべきという意見があった事は評価すべきだと思います。


9.標準報酬月額の上限の見直し

現在の標準報酬月額表では、厚生年金の保険料は給与額が62万円より多い場合は、全て62万円として計算されています。
この上限を引き上げようという案です。
この件は、少し前からマスコミでも取り上げられていましたので、御存じの方もいらっしゃるかと思います。

この見直しの理由に、健康保険の上限が98万円から121万円に引き上げられた事が上げられていますが、一口に「社会保険」と言っても健康保険と年金とでは全く異なる制度ですので、一律に同じ扱いをして良いというものではありません。
健康保険は短期保険で、その月の保険料はその月に消化していくものです。1ヶ月間医療機関を利用しなかったからといって、特典もありませんし保険料が返ってくることもありません。
年金のように長期間の保険料を掛ける期間があり、また長期間の受給期間があるという保険とは根本的に性質の異なるものです、
そのために、保険料の上限を違えてあるという事がありますが、これついての考察は行われていないようです。

現時点でも、給与が低く保険料が低い方と給与が高く保険料が高い方の年金受給額は給与額ほどの開きはありません。
もちろん、国が運営する以上は所得の再分配という意味合いもありますので、一概に損得の問題では語れませんが、しかし、これ以上上限を引き上げたとしても、実際の給付にはどの程度反映するのでしょうか?
給与額が高い方は中小企業の経営者である場合も多く、従業員の保険料も負担しているという部分もあります。
上限の引き上げには十分な検討が必要だと思います。


以上、簡単な内容説明と大神個人の感想でした。

(2011.12.5)


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