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年金の本当のおはなし
「制度運営上の改善事項について」について(2)
「制度運営上の改善事項について」はこちらをご覧ください

(1)給付関係から
・障害年金の額改定請求に係る待機期間の一部緩和
年金は、65歳以降に支給される老齢年金以外に、一定の障害の状態となられた場合の障害年金、ご家庭で主たる収入を得ていた方が亡くなられた場合の遺族年金があります。このうち、障害年金の扱いについてです。
障害度合によって、障害基礎年金には1級・2級、障害厚生年金には1級・2級・3級の障害等級があります。障害の状態がずっと変わらなければ問題ありませんが、怪我や病気の状況によっては、障害の状態が変わる事があります。こういう場合は申請をすれば、正しい障害等級に変更されることになっています。
ところが、この障害等級の改定請求は、ある等級が決まってから1年間は、新しい等級への請求ができないことになっています。
障害の状況によっては、1年未満であっても状態が変わる事もあるのですが、この場合に1年経過するまで待たないといけないのは不合理であるという事から、章かに障害の状態に変動があったのであれば、1年間を待たなくても変更の改定請求をすることができるようにする、という事です。
以前からこのような要望があったのはあったので、この改善は悪くはないと思いますが、そんなに多数の方が該当される事でもないように思います。

・特別支給の老齢厚生年金の支給開始に係る障害特例の取扱いの改善
現在、老齢年金の支給開始年齢は65歳ですが、厚生年金に関しては以前の制度が60歳から支給であったために、順次支給開始年齢を引き上げています。このため、現在は60歳から65歳の間は定額部分のない報酬比例部分(厚生年金該当分)のみの受給をしていらっしゃることとなります。一方で、障害年金を受給されている方で、老齢年金も受給できる条件が整っている方がいらっしゃいます。この両方を受け取る事が可能な方については、60歳から定額部分が減額されていない老齢年金か障害年金かのどちらかを選ぶ事ができるようになっています。一般的には、報酬比例部分のみの老齢厚生年金より年金額が多いため障害特例を利用されるのですが、これは障害特例を利用するという申請をしなければなりません。
現在は、この申請をした翌月から特例が適用され年金額が増える事になるのですが、これを障害等級に該当した日または特別支給の老齢厚生年金の支給開始日まで遡って支給するというものです。
この改善そのものは良いのですが、他の制度との整合性があるのかどうかが問題になるかと思います。

・未支給年金の請求範囲の拡大
年金は後払いになっています。例えば、2月分の年金は3月分と合わせて4月に支給されます。ですので、年金を受給されている方が亡くなられた場合は、必ず支給されていない年金が1か月か2か月分あることとなります。この残った年金の事を「未支給年金」といいます。この未支給年金は、残された遺族の方に代わりに受け取っていただくこととなっています。
この「遺族」の方の範囲が決まっていて、現在は、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹となっています。
この遺族の範囲を、現在のものに加えて、甥姪・子の配偶者・叔父叔母・曾孫。曾祖父母も含めるというものです。
しかしこれは、実務上では「必要な範囲」とは言い難いです。本当に実務を考えるのであれば、まず入れないといけないのは、成年後見人でしょう。これが請求の範囲に入っていないために、非常に困った事態が多発しています。この案を作った人は、現場の問題点を何も理解していないと思われます。


「(2)保険料関係」に関してはページを改めます。


(2012.2.15)




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