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年金の本当のおはなし
社会保障審議会年金部会の中間報告について(3)
6.パート労働者に対する厚生年金適用の拡大等

これも以前から話題になっています、パート労働者(短時間労働者)の厚生年金加入についてです。

ただし、対象となっているのは第3号被保険者だけではなく、労働時間が短いという理由で厚生年金の対象から外されている方々全般に関する問題も対象となっています。
この中では、12月1日に衆議院を通過した国民年金改正法によってまずは正社員に近い働き方をしているパート労働者に適用範囲を広げるということが重要とされています。

一方で、労働時間が短いために給与額が低い方が厚生年金に加入することによる国民年金のみ加入している第1号被保険者とのバランスについても問題となっています。
厚生年金は給与額によって保険料が決められていますが、それは完全に連動しているわけではなく、標準報酬月額表というものに当て嵌めて保険料額を決めています。
この表では一番低い給与額が月額98,000円となっています。このランクに該当する方の保険料額は、会社持ち分と合わせて国民年金の保険料額とほぼ同じで、将来の年金額もほぼ同じです。
とすれば、これより低い額を設定した場合、年金額をどうすべきなのか?という問題が生じます。
現在でも、厚生年金加入者の保険料は会社が半分を負担しており、それだけでも国民年金加入者とは不公平が生じているのですが、将来の年金額においても国民年金のみ加入の方との間でアンバランスが生じる事が懸念されています。

これについては、将来的に国民年金の保険料軽減支援制度が導入されれば解消される可能性もあるので、厚生年金の適用拡大はするべきである、という話になっています。
これは少し話が合わない気もしますし、そもそも国民年金の保険料軽減支援制度なるものも全く議論されていない中で、厚生年金の適用拡大を進めるのは少し乱暴なように思います。
また、保険料の企業負担に関する考察は非常に簡単になっていてこのままでは財界からの反発は免れないだろうと思われます。

上では、この項でのパート労働者は第3号被保険者に限らないと書いていますが、もちろん第3号被保険者についても論じられています。
この中には平成16年の改革を拡大解釈した文面も含まれ、疑問を感じる部分もありますが、第3号被保険者を無くすという方法ではなく、厚生年金の適用拡大によって実質的に第3号被保険者を減らそうという話になっています。

実は、年金制度全体の中で第3号被保険者を厚生年金の被保険者(第2号被保険者)にするということは、単純に保険料だけの問題では済みません。
例えば離婚分割を行う場合、第3号被保険者であれば、平成20年4月1日以降の厚生年金加入期間については自動的に半分に分割されますが、第2号被保険者であれば、双方の給与額を合算した額の半額を上限として、分割割合の合意を行わなければなりません。
また、厚生年金に加算される加給年金額は、配偶者が20年以上厚生年金に加入していた場合は加算されませんので、結果的に年金額が少なくなるケースが増えてきます。
そして、遺族厚生年金は、自身の老齢厚生年金との差額のみ支給されますが、厚生年金の加入期間が長ければ当然に老齢厚生年金の額が増え、遺族厚生年金の額は減ります。年金としての総額は変わりませんが、老齢年金は課税対象ですが遺族年金は課税対象ではないため、手取り額が変わる可能性があります。
ここまで考えて論じている方はおそらくいらっしゃらないのではないでしょうか。

しかし逆に言えば、それだけ第2号被保険者の配偶者だけが優遇されているとも言えます。
元々、国民年金、厚生年金、各共済として発足した各制度を、中途半端に統合した弊害が出てきているのだと思います。
早期に修正しなければならないものを、政治的理由でいつまでも修正してこなかった結果です(当時は自民党政権でした)。
今、年金制度の一元化が言われ、衆議院も通過していますが、禍根を残さないような制度変更をするべきではないかと思います。

第3号被保険者と第1号被保険者の不整合については、パート労働者の給与額から国民年金の保険料を天引きするという案も検討されています。
しかしこれも問題が多いようで、すぐには実現しそうにありません。


もう1回続きます。

(2011.12.5)


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