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年金の本当のおはなし
民主党の年金試算について(1)
民主党の年金改革案について、民主党から試算が発表されたようです。
消費税上げ最大さらに6%必要、新年金制度導入で=民主党試算
(リンク先は報道会社のwebページのため、記事が削除される可能性があります)

 何度もお話をしていますが、私個人は、この案そのものは悪くないと思っています。少なくとも完全に疲弊しきっている現行制度にツギハギをして誤魔化すより、よほどマシです。
 まず、間違えないでいただきたいのは、これはあくまでも民主党内の調査会で行われている事であって、まだ法案ですらありません。今すぐこの制度に代わるわけではありませんので、お間違いのないようにご注意下さい。
 一方で、そのような状況ですので、より好ましい制度に変更させる可能性も十分にあるのではないかと思っています。
 もちろん、そのためには国民の皆様の正しい理解と強い要望が必須です。そのためにも、マスコミによる誤導には十分にご注意いただきたいと思っています。多くの場合、マスコミの方々は年金制度について詳しくはありません。何か一つの思い込みで、その方向へ話を進めている事も現実としてあります。政府を批判するのは自由ですが、正しい理解の上で正しく批判していただきたいと思います。

 一番端的な誤導として、マスコミも、そして政治家たちも、すぐに「損か得か?」という話に持っていこうとします。でも、これは非常に危険な考え方です。金銭的な、正に机上の数字だけを比べて「損か得か」で判断するのは、長い期間を対象とする年金制度の設計には持ち込むべき考え方ではありません。
 損得という感覚は非常に個人的な感情です。同じ状況でも、ある人にとっては損と感じ他の人は得と感じる事もあります。マスコミはそれを誰でも「損」と感じる事であるかのように報道しますが、冷静に考えればおかしな事だと思います。
 まして、年金制度は日本全体の貧困対策である以上、「損得」の考えを基に制度を論じるのは正しい事とは言えません。金銭的には損をする人も得をする人も当然に出てきます。それは社会保障である以上はやむを得ない事です。同様の事は過去にも沢山ありましたし、これからも生じることでしょう。「自分だけが損をしている」などという考えは持つべきではありませんし、そのように感じさせるような報道等は信用すべきではありません。
 例えば寄付をするとき、金銭的に損か得かという考え方でするでしょうか?多くの方は、金銭的な損得より、誰かを助けたいというお気持ちとか、お金を支払う事によって得られる満足感とかを求めて寄付をされるのではないかと思います。社会保障にも、同じことが言えるのではないかと思っています。自分の手元の金勘定だけで、良し悪しを決めるべきものではないのです。
 年金制度の基本は、お互いの助け合いです。決して支払った金額を全部取り戻す事を目的とした制度ではありません。同じ日本国に住む人間が、なんらかの理由で金銭的に困る事が明確であるなら皆で助けましょう、という制度なのだ、ということを再認識していただきたいと思います。
 よく「国」と言われますが、「国」とは「遠いところにいる全く関係のない誰か」ではありません。「あなた」の集合体が「国」なのです。「国」が勝手にやってくれる保障などというものはありません。「国」がするためには「あなた」がしなければならないのです。保険料を支払うのも「国にいる誰か」を富ませるためのものではありません。「あなた」のすぐ隣にいる人、もっと言えば、「あなた」のご両親やお子様でもあるのです。そして、その中に「あなた自身」も含まれているというのが「年金制度」です。昨今流行の言葉でいえば、年金制度は「絆」なのです(笑)。

 長くなってしまいましたので、制度そのものの検証は次回にいたします。


(2012.9.14)




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