遺族年金は、年金制度のどれかに加入していて保険料をお支払いただいていた方が、お亡くなりになり、その方の収入で生活されていた方にとって収入を得ることができなくなった場合に支払われる年金です。
亡くなられた方が、どの制度に加入していたか?によって支払われる年金の内容が変わります。
遺族基礎年金を受け取れる方には制限があります。お亡くなりになられた方のお子様か、妻で高校卒業までまたは20歳未満の障害者のお子様がいらっしゃる方のみです。お子様ではない男性には支払われません。また、お子様の場合は養育する父母のいずれかがいらっしゃる場合には支給停止となり、実質支払われません。「養育する父母」には、実父母以外に養父母(養子縁組をした父母)も含みます。父母ともいらっしゃらなくなった場合に祖父母に当たられる方と養子縁組される事がありますが、要注意です。
妻は、基本的には戸籍上の妻ですが、入籍していなくても実質的に妻である方(事実婚)の場合は支給されます。その場合には、事実婚を証明する書類が必要となります。また、重婚(事実婚の方以外に戸籍上の妻がいる)の場合は基本的に認められないとお考え下さい。
遺族基礎年金・遺族厚生年金とも、お亡くなりになられた月の翌月分からです。御手続が遅くなられても遡って支給されますが、5年以上経つと時効となって消滅します。
遺族厚生年金を受給できる方が老齢厚生年金も受給できる場合は、老齢厚生年金を全額受給した上で差額分のみが受給できます。
夫がお亡くなりになられた時に40歳以上65歳未満で生計を同じくしていたか、 40歳時点で遺族基礎年金を受けていた方が、お子様が高校を卒業(障害のある方の場合は20歳になった)したため遺族基礎年金が無くなった場合に遺族基礎年金に上乗せで支給されます。ただし、65歳までの間のみです。 |
中高齢寡婦加算を受けていた方か、 昭和31年4月1日以前生まれの方が65歳以上で遺族厚生年金を受給することになり、お亡くなりになられた方が厚生年金だけで老齢厚生年金を受けることができた方に遺族基礎年金に上乗せで支給されます。ただし、昭和31年4月2日以降生まれの方にはありません。 |
遺族厚生年金を受け取れる方は、お亡くなりになられた方の配偶者、子、父母、孫、祖父母です。この順で該当する方がいらっしゃらなければ次順位の方になりますが、誰かが受給されましたら、その方が亡くなられた時点で支給は終了し、次順位の方へ移ることはありません。
配偶者のうち夫と、父母、祖父母の方への支給は、お亡くなりになられた時に55歳以上の方でなければ支給されません。また、年金の支給そのものは60歳からになります。
子、孫は高校卒業までの方または20歳未満の障害者の方です。お亡くなりになられた方の実子以外に養子(養子縁組をしたお子様)も支給対象となります。御両親が再婚された場合は、夫婦の婚姻だけでは子の養子縁組にはなりません。夫(父親)の実子の方が新しい妻の養子となっていないケースが多々あります。その場合は養子縁組をされていない母親(新しい妻)が亡くなられましても受給権は発生しませんので御注意下さい。
遺族基礎年金・遺族厚生年金とも、遺族の方の収入が多ければ(年間850万円以上)支給されません。
公的年金の支払いは後払いです。例えば4月分は5月分と合わせて6月に支給されます。
年金を受給されていた方がお亡くなりになられた場合、お亡くなりになられた月分までの年金は支給されますが、支給そのものは御本人様がお亡くなりになられた後になります。この場合、御家族のどなたかに代わりに受け取っていただくことになります。
年金を受給されていた方がお亡くなりになられましたら、遺族年金が受け取れるかどうかに関わらず、できるだけ早く年金事務所(社会保険事務所)で御手続きなさって下さい。
御手続きが遅れられた場合はお亡くなりになられた方の御口座にそのまま入ってしまうことがあります。その場合、金融機関では預金の引出しがストップされ引出しに御手間が掛ることがあります。またお亡くなりになられた方の御口座に入金された場合は遺産の一部となってしまいますので、場合によっては受け取れなくなることもあります。十分な御注意が必要です。
尚、死亡後の御手続をなさらず年金の受給を続けた場合は、遺族年金が支給される場合は遺族年金の額との間で清算されますが、遺族年金がない場合は余分に受け取った年金は返さなければなりません。遺族年金と清算する場合でも、老齢年金より遺族年金の方が少ないですので、一時的に年金はストップします。このようなことのないよう、必ず御手続をなさって下さい。
尚、未支給年金、遺族年金とも遺産相続権の放棄とは関係なく支給されます。