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年金の本当のおはなし
「65歳まで再雇用義務化」について
年金の支給開始年齢引き上げにともない、希望者全員を65歳まで再雇用しなければならないという厚労省方針の発表があったようです。

2011年12月14日 65歳まで再雇用義務化 希望者対象に厚労省方針
(新聞社Webサイトの記事のため、時間経過によりリンク先が削除される可能性があります)

まず、この記事内にあります「年金の支給開始年齢引き上げに合わせて60歳以上の雇用を確保するため」というのは、先般の68歳・70歳への支給開始年齢引上げとは関係ありません。
すでに、昭和61年の改変時に支給開始年齢の引き上げが決定されており、平成6年と平成12年に実効的な改変が行われた「60歳から65歳への引き上げ」に関しての話です。混同なさらないようにお気を付け下さい。

この「65歳まで再雇用」という件ですが、これは「定年年齢の引き上げ」ではなく「再雇用」であり、「労働者本人が希望する場合」です。全ての人が65歳まで働かなければならないということではありません。
もちろん、一般的には働かなければ収入はありませんし、今後は報酬比例部分の年金も60歳からは支給されなくなり、60歳定年で職から離れてしまうと年金の支給開始までに間が生じることとなりますので、その間の収入確保のために働かざるを得ない形になる方が多くなるのが現実ではありますが、働く事ができない状況の方まで働く義務があるわけではありません。この方針は会社側に対して、60歳の定年以降も勤務を希望される方全員の雇用を守るように義務付けたものです。

しかし、これはあくまでも「再雇用」ですので、60歳時点の仕事内容と給与を維持する義務はありません。再雇用後は仕事内容が軽易な業務に変わり、給与も減額されるパターンが一般的になるかと思います。これは今まで行われてきた再雇用の多くのパターンと同じです。
変更となったのは、再雇用する労働者について「会社側が選択的に決めることはできない」という事です。それ以外は今までと大きく変わる所はありません。

そして、この話は急に決まった事ではありません。
すでに平成18年4月から60歳以上の雇用促進については順次引き上げが行われており、また平成23年3月末には、それまで中小企業には認められていた再雇用の対象者を労使協定ではなく就業規則で定めても良いという経過措置も終了しています。
このように、高齢者雇用については、以前から順次進められていた施策であり、65歳までの再雇用義務化はすでに折込み済のお話ですので、多くの企業ではすでに対応を考えていらっしゃるのではないかと思います。尚、定年年齢そのものの引き上げも以前から促進されています。

マスコミは何かと悪いことのように騒ぎたてますが、あまり過剰に反応してネガティブな情報を信用してしまうのは御自身にとってプラスとはなりませんので、十分に御注意なさって下さい。


(2011.12.15)



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