2012年1月30日に国立人口保障・人口問題研究所から「日本の将来推計人口」という推計の概要報告書等が発表されました。。
日本の将来人口推計(平成24年1月推計)の結果概要ならびに詳細結果表を公表しました。
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本当に、この研究所は、政府が年金関連で窮地に立たされると必ず何かを発表しますね(苦笑)。今回も年金試算の発表をするかどうかで揉めそうな時に見事に合わせてきています。偶然の一致と言われれば、こちらとしては何も証拠はないですから何も言えませんけれど。
それで、この将来推計人口ですが。
あまり信用しすぎるのはどうかと思います。なにしろ50年も先の人口です。一体誰に正しい数字がわかるのでしょうか?推計の計算方法が簡単に説明されていますが、それが絶対に正しいなどとはとても言えない内容です。特に、今回は出生率を現実のものから下方修正して算出されています。当然に将来推計は低い数字となるでしょう。
ただ、この問題については、また別にお話させていただきます。
問題は、この数字は何のために使うものなのか?なのです。
こういった諮問機関は政府の政策決定のための資料等を提示するのが主目的です。今回の推計も、今後の年金制度をはじめ様々な政策を決定するための参考とされます。つまり、将来これだけ人口が減り、労働人口も減って高齢者が増えるという前提で今の政策を立てなさい、ということを示すためのものです。
ですから、この数字だけを見て国民の皆様が大騒ぎするのは、あるべき姿ではありません。まして、「だから年金はダメ」とか「だから保険料を支払わない」などと考えるのは全くの見当違いです。政府はこれを基に年金制度を維持させるための方策を考えることとなるのですから。
そして、今後政府が出してくる年金政策を「どうせ将来ダメになるんだから意味がない」とか、中身の精査もしないで「ダメ」と決めつける事とかは絶対にするべきではありません。もし、そのような事を言う人や書いてある記事があれば、それはまず疑って下さい。その人やその記事を書いた人は年金の事を何もわかっていない人です。
もちろん、政府が出してきた制度変更が本当に有効なものであるかどうかの検証はしなければなりませんし、その結果、不適切なものであれば修正をさせなければなりません。しかし、そのような検証を全くせず、まして何の提示もない時点でネガティブな情報を流す事は、何よりも国民の皆様の利益を阻害するものです。このようなものには引っかからないよう、十分に御注意なさって下さい。
ところで、今回の一連の報道の中で、人口減少への対策として外国人の移入を仰る方がいらっしゃいましたが、もしそういう事をするのであれば、日本の制度と日本人の意識を大幅に変えなければならないと思います。最近では介護福祉士の問題が取り沙汰されていたと思いますが、日本人が日本人だけで日本国を維持できないために外国の方々に来ていただくのですから、当の日本国や日本人がそっくり返っていたのでは話にならないでしょう。来ていただく外国人の方々に謙虚に向き合える日本国・日本人になれなければ移民は無理だと思います。
また、労働力としてしか見ていないような事も気になります。日本に来ていただいて日本を支えていただいた方々に、高齢となった時には自国へ帰れなどと言うことは絶対にあってはならないことです。もちろん、ご本人が帰りたいと仰るのならその意思は優先されなければなりませんが、日本に残られた場合は日本人と同じ扱いをする必要があります(現在の在日の方々の状況を考えてみていただきたいです。もし在日の方々の状況を当然とし、これ以上に悪い状況を強いるのであれば、移民は望めません。尚、年金は国籍に関わらず日本国内に居住する限りは加入義務があり、加入状況によって年金が支給されます)。
結局、今すぐの労働人口としては増やすことができたとしても、将来的に支えなければならない人数は減る事はなく、永遠に同じ事を繰り返さなければならなくなるという点を忘れてはならないと思います。
年金制度は、今現在だけ今から5年・10年程度先だけを見ていたのでは、問題の先送りにしかなりません。また遠い先の状況など、誰にも確定させることはできません。年金制度は、良し悪しはともかく、初めてしまった以上は永遠に続けなければならないこととなります。その都度その都度、より良い制度に修正していくしかないのです。
そのための正しい情報と知識を国民の皆様にも持っていていただきたいと思います。
(2012.1.31)