年金に関する予算を提示するかどうかで国会が揉めており、それに連動してマスコミもいろいろ取り上げているようですが、はっきり言いまして、野党もマスコミも何もわからなさすぎです。もしかすると民主党もわかっていないのかもしれません。
そもそも、現在の消費税を10%に引き上げるという話と、将来の民主党年金改革案の7万円の最低保障とは全く別のものです。
現在の消費税upの話は、現在の年金制度の基礎年金部分について、以前は国庫負担が1/3だったものを平成16年の国会で1/2負担に引き上げると定めたにも関わらず長期間放置し(放置したのは自公政権です)、やっと平成21年6月から施行されるようになったのですが、このための財源がないために消費税で賄おうというものです(平成24年度に関しては国債で賄う事になっています)。そのために「これ以上未来に借金を残さない」という話になっています。
しかし、この現行制度の維持のために必要な予算と遠い将来のまだ概要すら決まっていないような年金改革案の予算とでは、全く意味が違うのです。何も定まっていない制度について、50年後の情勢も何も憶測でしか想定できないという状況の中で(様々出てきているデータ類は全く信用できないものであることを認識して下さい)、いくら予算を出したところで、そんなものには何の価値もありません。今の10%への引き上げは現在の年金制度維持のためにあるものですので、現行制度以上に国庫(税金)への負担を求める民主党年金改革案では、当然に消費税率は上がります。17.1%という数字だけがやたらと取り上げられていますが、これ以上になる可能性もいくらでもあります。しかし世の中の情勢によってはここまでは上がらない可能性もあるでしょう。そんなものは今の時点で決められるハズがありません。
しかし、問題は負担が増えるかどうかではなく、国民の皆様がどのような給付を求められるのか?です。高い給付を求められるのであれば、当然に負担は高くなります。現在の日本の社会保障は世界中でもかなり高い水準にあります。にも関わらず負担は非常に低いまま抑えられています。なので制度疲労が生じているのです。その事実は政治家も国民も認識しなければなりません。
いずれにしろ、こんなバカげた政局の争いに、今まだ生まれてすらいない国民も含めた国民全員を巻き込まないでいただきたいと思います。自民党をはじめとした野党はそれを認識していただきたいですし、与党である民主党も隠す事なく正しく状況説明をしていただきたいです。また、政治家の利己的な争いにマスコミも便乗するべきではありませんし、国民の皆様もこのような足を引っ張る事を目的としているような話を信じるべきではありません。
国民の皆様には、冷静に「本当のこと」を見極めて、正しく判断していただけますことを強く望んております。
(2012.2.10)