2013年6月3日に政府の社会保障制度改革国民会議が公的年金制度の課題を議論したとして、「支給開始年齢について、早期に引き上げを検討する必要があるとの意見が大勢を占めた。」という記者会見があったようです。
支給年齢引き上げ、早期検討を=公的年金制度を議論―国民会議
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笑ってしまうくらい、定期的にこういう話が出てきますね。なぜこういう話が繰り返し出てくるのか、冷静に考える必要があるでしょう。
そもそも、年金制度の維持のために支給開始年齢の引き上げは、必須事項ではありません。今まで散々政府による大本営発表をマスコミも無批判に垂れ流してきていますので、支給開始年齢の引き上げは当然にあるもの、場合によっては80歳もありえる…と信じ込んでいらっしゃる方もいらっしゃいますが、それは完全に政府による洗脳です。そんな大嘘に縛られないで下さい!
何度も繰り返しますが、年金支給開始年齢は絶対に引き上げさせてはいけません!これは、全国民を上げて阻止するべき事項です。中には、「破綻するよりもはマシ」と考えられる方もいらっしゃるでしょうが、年金制度が現状である限り、制度破綻はありえません。「年金制度破綻」は、保険料を値上げするための方便でしかないのですから。
いいかげん、政府による洗脳から目覚めましょう!年金制度の維持のために、支給開始年齢の引き上げは必要ありません!その他にも検討するべきことはいくらでもありますし、容易に変動可能な方法もあります。それらの検証を全くしないまま、支給開始年齢引き上げ一辺倒であることの異常性に、国民自ら気付かなければなりません!でなければ、私達が支払った保険料は、全て私達に還元されることなく、官僚や政治家の良いように使われてしまう可能性があるのです!(今の法律ではできませんが、今後制度の変更又は気付かないうちに流用される可能性も否定できません)
そもそも、少子高齢社会は永遠に続くものではありません(今の日本は高齢化社会ではなく高齢社会です)。これは、団塊世代の方々が数多くいらっしゃる期間だけの「異常事態」なのです。にもかかわらず、政府は永遠に続く事であるかのような印象操作をしています。しかし、これは全くの嘘です!2050年の推計は、完全な「推計」であって、誰にも保証できるものではありません。現に、2006年から毎年、合計特殊出生率は増加しています。また、2年連続で平均寿命は下がっています。この事実を正しく広報しないまま、いつまでも少子化、高齢化が進み続けるかのようなプロパガンダをしている事に異議を唱えるべきです。少子高齢社会は、今が底なのです!!
今後、平均寿命は下がり続ける事が容易に想像できます。そもそも、人間も生物である以上は、平均寿命は永遠に上がり続けるものではなく、絶対にどこかでは頭打ちするものです。平均寿命の頭打ちは、10年以上前から容易に想像できるものであったにも関わらず、これに関する正しい広報は行われず、永遠に伸び続けるかのような報道が行われてきました。冷静に考えればおかしな事がすぐわかると思うのですが、これに異議を唱えるマスコミもありませんでした。その結果、年金制度の破綻は必須事項であるかのように考えられています。しかし、これは全くの嘘なのです。
そもそも、なぜ「年金制度が破綻する!」と言われだしたのか?という問題と、本当に破綻するのか?という問題がありますが、それはまた後で書くとしまして、まず先に、なぜ支給開始年齢の引き上げをしてはいけないのか?の検証をします。
まず一つは、支給開始年齢は、一度引き上げてしまうと、二度と元へ戻せない一方通行の改変となります。なぜなら、一度引き上げて、また引き下げようとしたとき、その間に挟まって不利となる方が発生するからです。
この場合、不利となる方々になんらかの保証をしなければならない事となりますが、現年金制度ではその原資が確保できない以上(通常の支払いで手一杯なので)、支給開始年齢を元に戻す事は至難となります。支給開始年齢の引き上げは、基本的に一度引き上げれば二度と元へは戻せない改変である、という事を知っていただきたいです。
そして、もう一つは、先程も書きましたとおり、平均寿命は永遠に伸び続けるものではなく、下がってくる事もありえるものである、しかもすでに下がり始めている…という事です。これは、あまり詳しい話をオープンでお話する事が躊躇われるのですが、おそらく、あと10年もすれば、3歳から5歳、平均寿命が下がる可能性があると私は思っています。
もし、平均寿命が75歳まで下がったとしたら(男性だけで言えばありえない事ではありません)、平均的な受給期間が、68歳支給開始で7年、もし70歳支給開始であれば5年となります。それでも良いのでしょうか?40年かけ続けてきて、たった5年しか受け取れないような制度にして、それで良いのでしょうか?
平均寿命が75歳まで下がった時に、支給開始年齢が70歳であれば、先程書きましたとおり、65歳や60歳に戻す事は難しい事態となります。その時になって「間違えていた!」と思っても、すでに遅いのです。そんな硬直的な変更を、「今」しても良いのでしょうか?
もう1点、現在、問題となっているのは、団塊世代をどう支えるか?の話です。高齢者が多い状況は永遠に続くものではありません。団塊世代はせいぜい3年以内の短期間の方々です。その方々にどう対応するべきなのか?が本来の問題なのです。
にもかかわらず、未来永劫高齢者が過剰であるかのような印象操作をしているのは、制度変更を正当化するための方便でしかありません。年金制度は、50年を超える単位で考えるべき制度です。10年20年など、ほんの短期間でしかないのです。せいぜい長くても20年(私の予想では15年程度)の間だけ維持できれば良い話を、未来へ渡って変えようのない改変をして良いのか?という問題があるにもかかわらず、他の検証すべき部分を全く検証せず、支給開始年齢の引き上げしか方法がないかのような議論をしているのは、異常でしかありません。
そして、これから支給開始年齢を引き上げたとしても、団塊世代の方々への対応としてはまったく無意味で、実は調整の必要のないそれ以下の年代の方々への減額となるだけなのです。
何を狙った事なのか、穿てばいくらでも穿てるのですが、それでは陰謀論になりかねませんのでここでは控えますが、いずれにしろ、支給開始年齢の引き上げだけが解決策ではなく、このような不可逆な変更をする前に、他の方法の検証を正しく行うべきであると思います。
また、マスコミの皆様には、政府が言うことをそのまま鵜呑みにするのではなく、本当に正しい事が何なのか?本当に国民に伝えるべき事は何なのか?を真摯に考えていただきたいと思います。マスコミの存在価値は政府広報ではないはずです。「報道の自由」は、個人のプライバシーを暴く出歯亀のためにあるのではなく、政府等権力者がおかしな事をしないように監視するためのものであるはずです。
報道が本来するべき事を思い出していただき、正しい報道の在り方を再度お考えいただきたいと思います。
国民の皆様には、政府が言う事をそのまま信じるのではなく、それを行った場合どういう事になるのか?他に方法はないのか?を考え、政府に対して意見をしていく事をしていただきたいと思います。なぜなら、それが自分自身の権利を守る事であるからです。
何度も繰り返しますが、絶対に支給開始年齢の引き上げはさせてはいけません。それは、今現役世代である方々の大きな損失となります。政府の勝手を許してはなりません。
まだ書き残した事がありますので、<2>以降に続けます。
(2013.6.4)