少し前のお話になりますが、社会保障審議会年金部会が、中間報告をまとめたようです。
この中間報告の目次は以下のとおりです(報告書は
こちら)。
1.はじめに
2.低年金・低所得者に対する年金給付の見直し
3.基礎年金の受給資格期間(25年)の見直し
4.2年の時効を超えて保険料を納めることのできる仕組みの導入
5.国民年金の適用年齢の見直し
6.パート労働者に対する厚生年金適用の拡大等
7.育児期間中の者の保険料免除等
8.在職老齢年金の見直し
9.標準報酬月額の上限の見直し
10.おわりに
とりあえず、支給開始年齢の引き上げは対象には入っていません。
とあるTV局のニュース番組でこれも含まれているかのような報道がありましたが、全くの間違いです。
今後、この話を出してくる可能性はありますが、それが数年後なら、引き上げた後の問題点が表面化してくる可能性がありますので、今度出てくるときにはまた違った形となるかもしれません。
まず、2.低年金・低所得者に対する年金給付の見直しに関しては、所謂、正社員ではない働き方の方が増えた事に対する対策について議論されているようです。
これは、所謂、第3号被保険者の問題だけではなく、第1号被保険者の対象となっているパート・アルバイト労働の方々についての扱いも見直す必要がある、ということです。これは、厚生年金に加入できないために年金加入期間が足りず、年金がない方や、あっても年金額が少ないという方々がいらっしゃることに対してどのようにすべきか?という問題です。
単純に「少しでも保険料を取ろうとしている」という視点で論じるべきことではありません。
何かというとネガティブ発言をする方がいらっしゃいますが、このような発言には何の意味もなく発展性もありませんのであまり相手になさらない方が良いでしょう。
特に社会保険労務士としてこのような発言を繰り返す方は、その職務についても勘違いしていると思われます。このような人は排除すると同時に、その発言に対する責任も求めるべきだと思います。
一方で、保険料納付義務を逃れた方に対して所得保障を行う必要はないという文面も見られますので、今後は保険料を納付しなかった方には、より厳しい対応がされる可能性もあります。
これについては民主党が提唱していた「最低補償年金」に対する疑義が提示されています。民主党の諮問委員会で民主党の政策に対して疑義が提示されているということは評価すべきかと思います。
また、年金受給時に単身である方について、夫婦世帯より年金額が少なくなってしまうことへの対策も考えるべきとされています。
これは今まであまり議論になってこなかった部分かと思います。ただ、その原資など具体的な話はされていません。
また生活保護との関連も議論されており、免除手続を行ったかどうかによって対応をすべきである、ともなっています。
今、保険料を未納し将来生活保護で暮らすと仰っている方は、実際にその時になれば辛い老後となる可能性もあります。変な抜け道などは考えられない方が結果的には得策でしょう。
ここで再確認していただきたいのですが、年金の保険料を支払うのは自由意思でできることではありません。日本国内に住む限りは義務として規定されていますので、お間違いのないようにお願いいたします。
また、保険料を納めたら損をするというような情報は全くの間違いですので、そのようなお話は信用しないで下さい。
長くなりますので、他の件については別途upします。
(2011.12.3)
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社会保障審議会年金部会の中間報告について(3)
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