3.基礎年金の受給資格期間(25年)の見直し
何度も話に上がっているように、25年以上保険料を納めていないと年金が受け取れないというのは長すぎるのではないか?という話です。(25年には保険料免除期間・若年者猶予期間等を含みます)
ただ、この報告書にも記載されているのですが、所謂カラ期間があったり、60歳以降の任意加入があったりしますので、本当に年金が全くない状態になられる方は、15年以上という長期間の保険料未納期間がある方ということにはなります。
ただ、気付くのが遅いと年金が受給できなくなるのは事実であり、現実に、ネガティブ情報を信じたばかりに辛い老後となっている方もいらっしゃいますので(現実に私自身が面談したことがあります)、保険料はできる限り納めるか免除等の申請をされるのが良いと思います。
25年間全く保険料を納めていないのであればやむをえませんが、少し勤務をされた時期があると、その間は必ず厚生年金の保険料を納付されていることになりますので、その間の保険料が全く無駄となってしまいます。他にも少しだけ保険料を支払っているケースは少なくありません。
このような事態に対して、納付した分の年金は受給したいというニーズがあることは認識すべきである、となっています。
ただ、納付済期間を短縮した場合、滞納者が増えるのではないか?という懸念も示されています。
私としては、根本的に保険料納付済期間が何年であろうと、国民の皆さんが喜んで保険料を納めるような制度であることが重要なのではないか?と思いますが…。
受給に必要な期間として、具体的には「10年」という数字が出ています。しかし全く無くしてしまうことには否定されています。
私も、全く無くしてしまうわけにはいかないという事については、やむを得ない判断だと思います。
保険料の全額を消費税で賄うという形をとらない限りは、受給資格期間を撤廃することは難しいでしょう。
4.2年の時効を超えて保険料を納めることのできる仕組みの導入
これは、現在は未納した保険料を遡って納付する場合、時効によって2年以上前については納付できないために、保険料が納めたくても納められず、結果的に年金が無くなったり年金額が少なかったりすることに対する対応についてのお話です。
書かれている文章が、少し内容が読み取りにくいのですが、どうやら2年という時効は維持したまま、なんらかの手立てで時効を超えて保険料の納付を可能としたいということのようです。遡れる期間としては、10年又は5年が検討されているようです。
これは過去の事例との関連性があるように思います。
ある意味、わざわざ検討するまでもない内容とも言えます。
ただ、時効そのものを変更させることが難しいというのはその通りだと思いますので、やむを得ない措置とも言えます。
5.国民年金の適用年齢の見直し
これは、一度話が出た支給開始年齢の引き上げとは全く別の話です。
現在、国民年金の保険料を納付する期間は20歳から60歳となっていますが、大学の進学率が高くなっているために在学中は保険料が納付しにくいことから国民年金加入時期を後ろへずらしても良いのではないか?という案です。
この報告書では20歳以降で年金加入までの間に障害が生じた場合、障害年金の対象からはずれることになるため、なんらかの措置が必要になるという指摘もされています。この事を考えれば、現在どおり、加入期間は20歳からとして猶予期間を設けるのが良いのではないか、という話になっています。
つまり、今回の報告書だけでは全く意味のない話なのですが、今後の可能性として国民年金の加入期間は変更となるかもしれません。
(2011.12.4)
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