「社会保障・税一体改革素案」の原文は
こちらをご覧ください
年金以外の部分も沢山ありますありますので御注意下さい。年金に関しては17ページ(ページ番号16)からです。
「4.年金」の部分に関しては、昨年末に提示された骨子とほぼ同じ内容です。
昨年末の「社会保障・税一体改革素案骨子(社会保障部分)」に関するお話は、記事下欄にあります「関連記事」のリンクからご覧ください。
「? 新しい年金制度の創設」の部分は一言一句違うところがありません。
「? 現行制度の改善」の部分については、基本的には変わりませんが、少し具体性のある文言に変わっている部分があります。
まず、詞書が挿入されました。
これは、新しい年金制度を制定するにもかかわらず、現行の年金制度を変更しなければならない理由について述べています。
この詞書に基づいて考えるなら、現在20歳以上の方々は、新しい年金制度が創設されたとしても、全く関係のない話となりそうです。
その良し悪しはともかくとして、今後もし「年金制度が新しくなるから」ということで煽るような記事がありましたら、ちょっと疑ってみた方が良いでしょう。
「(1)基礎年金国庫負担2分の1の恒久化」では、年金原資確保のため消費税の引き上げを行うと読み取れる表現に変わっています。それに伴って、「年金交付国債」(仮称)という単語が出てきました。この国債そのものは年末から出ていた名前ですので、特に目新しい感じはしませんが、この国債については、「「年金交付国債」(仮称)の償還は、消費税引上げ後に消費税収により行う。」と明記されていますので、これが間違いなく行われるかどうかをキチンと監視しなければなりません。
なぜかというと、消費税から償還しなかった場合、この国債が一般財政から切り離されている以上「国庫負担」とはならないからであり、それは財務省が国民の社会保証に対し責任を負わないということとなり、今問題となっている「社会保障・税一体改革」が根本から嘘であったということになるからです。
今行われている「社会保障と税の一体化」は、財務省と厚労省の間で面倒事になりそうな問題の押しつけ合いが行われている事に他なりません。十分な注意をしなければならないでしょう。
「(2)最低保障機能の強化」については内容に変化はありません。相変わらず、満額支給となる障害・遺族基礎年金にも加算するというワケのかわらない事が記載されています。
「(3)高所得者の年金給付の見直し」についても変化はありません。何をしたいのか、もっと明確にしていただきたいです。
「(4)物価スライド特例分の解消」についても変化はありません。これは年金制度全体から考えれば早急に対処すべきことなので、選挙の損得に関わりなく断行していただきたいです。
「(5)産休期間中の保険料負担免除」についても変化はありません。
「(6)短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大」についても変化はありません。
「(7)被用者年金一元化」についても変化はありません。
「(8)第3号被保険者制度の見直し」についても変化はありません。
「(9)マクロ経済スライドの検討」についても変化はありません。
「(10)在職老齢年金の見直し」についても変化はありません。
「(11)標準報酬上限の見直し」についても変化はありません。
「(12)支給開始年齢引上げの検討」についても変化はありません。
「(13)業務運営の効率化」についても変化はありません。
「(14)その他」についても変化はありません。
ということで、少なくとも年金に関する部分については、12月に提出された「骨子」と殆ど変わりのない内容です。
このうち(1)と(4)は「平成24 年通常国会に法案を提出する」、(2)(3)(5)(6)(7)については「平成24 年通常国会への法案提出に向けて検討する」となっていますので、このあたりで次の国会までに詳しい話が出てこなければおかしいということになります。
(8)以降については、いつの話になるのかわかりませんが…。
まずは、このような題目だけの中身のわからないものではなく、キチンと内容を提示していただくことと、あまり悠長にはしていられない問題ですので早急に対処していただきたいと思います。
(2012.1.12)
この記事に関連する記事があります。
社会保障と税の一体改革素案骨子(社会保障部分)について(1)
社会保障と税の一体改革素案骨子(社会保障部分)について(2)
社会保障と税の一体改革素案骨子(社会保障部分)について(3)
「低所得者への加算について」について
「高所得者の年金額の調整について」について
「遺族基礎年金について」について
「受給資格期間の短縮について」について
「産休期間中の保険料免除について」について
「制度運営上の改善事項について」について(1)
「制度運営上の改善事項について」について(2)
「制度運営上の改善事項について」について(3)
<「年金の常識」の間違い>第三号被保険者の問題点など